質問16:風邪や肺炎にかかった後から喘息になることはありますか?
感染をきっかけに気管支喘息の治療が必要になる状況はよく起こっています。
まず、普段から喘息を持っている人の場合は、風邪やインフルエンザの感染がきっかけになって、コントロールが悪化し発作を起こしやすくなります。これは患者さん自身が何度も体験して感じていることでしょう。コントロールがうまくいってお薬が減量になっていたのに、咳き込みがぶり返して薬が増えてがっかり・・・というパターンです 。
またそれまで喘息を起こしたことがない人でも、喘息と同じような咳き込みや息苦しさが出現し、喘息と同じ薬剤を用いた治療が必要になることもあります。
感染症としては、小児・成人のマイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎が有名です。これらの病原体は細胞に働くサイトカインという物質を産生させ、アレルギー性の喘息の患者さんの気管支で起こっている喘息発作と同じような状態をアレルギーがない人の気管にも起こしてしまいます。喘息と診断されたことがないにもかかわらず、夜になると激しい咳き込みや喘鳴(呼吸をする時のヒューヒュー音やゼイゼイ音)が出ている時は、これらの感染を疑って胸のレントゲンを撮影したり血液検査を行ったりすることもあるでしょう。このような症状の治療には、感染症自体に対する抗生物質の他に、喘息を治療する時と同じ気管支拡張剤等が必要になります。
中には、その感染をきっかけに、風邪の後は毎回同じような悪化がみられるようになってしまうこともありますが、そのような経過をたどるケースでは、もともとアトピー性皮膚炎があった等アレルギー性疾患を持っていた患者さんが多いと言われています。
乳児期のRSウイルス感染症の悪化でも喘鳴が出ることがあります。残念ながらこれには小児・成人共によく処方される気管支拡張剤やロイコトリエン受容体拮抗薬、もちろん抗生物質も効果がありません。痰がつまって呼吸が苦しそうな時にはA&Eを受診するようにしましょう。