アレルギー相談室


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2019年5月24日 (金)

質問10:口腔アレルギー症候群とは?

花粉に感作された後、その花粉のアレルギーを起こす原因にとても似たタンパク質をもっている果物や野菜に対してもアレルギー反応を起こす場合があります。そういう花粉と食べ物の関係を「交差抗原性がある」「交差反応性がある」と言い、その症状を口腔アレルギー症候群(花粉-食物アレルギー症候群)と呼びます。ほとんどの場合は、口の中や喉のイガイガ感や痒み、腫れぼったさなどですが、鼻汁やくしゃみなどの鼻症状や、涙や充血などの眼症状、瞼や顔の腫れが出ることもあります。1割程度の患者さんでは吐き気や腹部不快感もありますし、まれに、アナフィラキシーショックを起こすこともありますので、症状が強い患者さんでは、他の食物アレルギー同様、万が一に備えてエピペンを持っておくことも必要です。特に豆乳やモヤシ、スパイスによる反応は重症化しやすいと言われています。

花粉に感作されていても花粉症が発症していないという時期に、食べ物による反応のみが出ることもあります。また、小さい頃は食べても平気だった食べ物で反応が出るようになることがありますので、予期せずに口の中に違和感が出てきた時はそれ以上は食べない、などの注意が必要でしょう。治療の原則は原因食物の除去ですが、缶詰やジャムなどの加工食品は食べても大丈夫なことがほとんどです。

主な花粉と交差反応性については、下の表を参照してください。(食物アレルギー診療ガイドライン2016より)

イギリスで多いGrass花粉については、イネ科のところを見るようにしてください。

「食物アレルギー ガイドライン 交差反応性」の画像検索結果

質問9:花粉で顔が痛くなることがありますか?

あります。花粉による刺激でピリピリチリチリする感じが起こったり、痒みが出てきたりします。痛みとまでいかなくても、この時期に肌荒れが起こる方は関係があるかもしれません。花粉による皮膚炎が悪化すると、赤みが強くなり、ブツブツができたり、手触りがざらざらになってきたりもします。これは空気伝搬性接触性皮膚炎のひとつで、花粉皮膚炎と呼ばれます。

治療としては、鼻水やくしゃみの花粉症に使うのと同じ抗アレルギー剤と、皮膚の炎症に対してはステロイド外用薬を使います。

肌のバリア機能が低下していると、花粉皮膚炎は出やすくなりますので、もともとアトピー性皮膚炎や乾燥性皮膚炎がある方は保湿剤などの日々の治療をしっかり続けておきましょう。また、この症状は花粉が皮膚を刺激することで起こりますから、できるだけ皮膚をカバーしておく方がよいですし、帰宅した時は部屋の中まで入る前に衣類をよくふるったりたたいたりして花粉を室内に持ち込まないようにしましょう。


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