アレルギー相談室


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2019年4月30日 (火)

質問8:アレルギーがあるかどうかを調べるためにどんな検査をしますか?

アレルゲン(アレルギー症状を起こす原因物質)に対する抗体の量を調べる血液検査が、最も手軽に行える検査です。それぞれのアレルゲンに対しての特異的IgE抗体が検出されれば、「感作されている」ということがわかります。感作されているからといって、必ず症状が出るわけではありません。(また、この検査で「感作されていない」という結果が出ても、アレルギーを否定することはできません。)

しかし、ある樹の花粉に感作されていて、その花粉が飛ぶ時期に鼻炎が悪化していれば、その花粉が原因である可能性が高いと言えますし、エビを食べた時に皮膚症状が出ていて、検査でエビに感作されているということであればそれが原因だと考えることができるでしょう。

「アレルゲンかもしれない」と疑っている物がはっきりしない場合は、花粉やホコリ、動物のフケ、カビなどのよくある吸入アレルゲン、あるいは、甲殻類、卵、牛乳、ピーナッツなどのよくある食物アレルゲン、何種類かの魚のアレルゲン、のような複数のアレルゲンのグループに対してこの検査を行います。ですから、検査をする前に、「どんな時にどんな症状が出たか」「何を食べた時か」「何をしたときに症状が出たか(例えば「食事の後に駅まで走った」など)」等の状況がわかる情報が多いほど、検査を絞り込むことができます。タンポポがあやしい、とか、ニンジンがあやしい、とか、豚肉があやしい、とか、あまり一般的ではなくても、原因らしいものが絞り込めている場合は、それについての血液検査が可能なこともあります。

このほかには、針で皮膚にほんの少量のアレルゲンを入れて、腫れる・赤くなるなどの反応が実際に患者さんの皮膚で起こるかどうかを観察するテスト(プリックテスト)もありますが、GPでは行っていません。この検査が必要な患者さんはアレルギークリニックなど専門医を受診することになっています。これは日本でも同様です。

個別のアレルゲンの識別方法ではないですが、IgE全体の量としての総IgEが増えているかどうかや、白血球の中の好酸球数が増えているかどうかもアレルギーがあるかどうかの参考になります。また、気道のアレルギー性炎症の有無や度合いをみるのには、呼気NO検査も使えます。

2019年4月 4日 (木)

質問7:花粉症で咳も出ますか?

花粉症の症状としては鼻水やくしゃみ、目の痒みがよく知られていますが、喉の奥の痒みや咳、耳や顔の痒みが出てくることもあります。痒みを抑える薬と鼻水を抑える薬は同じなので、花粉症の薬(抗アレルギー剤)を開始することで鼻水、くしゃみや痒みと一緒に咳も治まる方もいらっしゃいます。しかし「花粉症の薬を飲んでいるのに咳が出てきた。」「咳のせいで夜なかなか寝付けない」「夜中に咳で目が覚める」などの場合は、追加の治療が必要になることがあります。

花粉症で咳が出る場合、鼻の粘膜と同じように喉の粘膜が敏感になってしまって出る咳(アトピー咳嗽や喉頭アレルギーによる咳)、鼻水が喉の奥に流れて喉を刺激する咳(後鼻漏による咳)、隠れていた咳喘息が花粉症のせいで悪化して出てくる咳、などが考えられます。その他に、鼻閉があるために口呼吸になって喉が痛んでしまっていることや、花粉症の上に風邪をひいてしまったという場合もあるかもしれません。胸焼けがある人では逆流性食道炎が咳の原因ということもあります。咳の度合いはどのくらいか、乾いたコンコンいう咳なのか、痰がらみの咳なのか、一日の中でどういう時に特に咳が多い感じがするか、今飲んでいるお薬は何かなど、患者さんの自覚症状、経過、そして診察所見から原因を探していきます。

抗アレルギー剤を増やしたり変更したりすることで改善する咳もありますが、粘膜の炎症を鎮めるための吸入ステロイドや気管支拡張剤が有効な咳もあります。後鼻漏による咳が長引いている場合は、抗生物質や去痰剤が少し長めに処方されることもあります。

咳が出るから花粉症ではない、と花粉症の薬を止めるのは早計です。上記のようにいろいろな要素が考えられるとは言え、咳が出てきたことで花粉症の薬を中止する理由はほぼ無いからです。花粉症に対して点鼻薬が処方されている場合は、鼻水や鼻づまりがある時だけでなく、最初に説明されたとおりに毎日きちんと点鼻を行いましょう。内服薬も毎日内服する方が効果的です。市販の咳止めや風邪薬を花粉症の薬と一緒に飲むと眠気が強くなることがありますので、受診が難しく市販薬を内服する時は成分をよく確認したり薬剤師さんにきいてみるようにしましょう。


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