アレルギー相談室


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2019年3月13日 (水)

質問6:アレルギーを防ぐ方法はありませんか?

患者さんからよく訊かれる質問です。アレルギー体質は遺伝の影響がありますので、これをなくすことは残念ながら今の医学ではまだ無理です。しかし、アレルギー疾患についてわかったことは年々増えていますし、それにより対応の仕方も変わっています。

たとえば、花粉症であればごく軽い症状を感じてすぐ、または例年症状が出るよりも前の時期から、抗アレルギー剤の内服や点鼻薬を開始すること。アレルゲンによって粘膜や皮膚の炎症がひどくなってからよりもコントロールが楽になります。

喘息であれば、自覚症状が落ち着いても吸入薬をきちんと継続すること。気管支の粘膜で種火のように続いている慢性的な炎症を根気よく治療することで、だんだん症状が出にくくなってきます。

昔は食物アレルギーを心配して妊娠中や授乳中のお母さんに食物除去を指示する医療者もいましたが、今は乳児の皮膚炎がきちんと診断された特別な場合以外には、お母さんが余計な食物除去を勧められることはありません。

また、赤ちゃんであれば、皮膚の症状がなくても新生児期から保湿剤をきちんと塗ってあげること。それによりアトピー性皮膚炎の発症リスクが下がるとわかっています。アトピー性皮膚炎は食物アレルギーの最大のリスクと言われていますので、これを予防することには大きな意味があります。

離乳食が始まった頃であれば、食事の前に湿疹や赤みが出やすい口の周りや頬にワセリンを塗ってあげて、食べ物が皮膚に直接触れるのを防ぎ、食後にはワセリンごと拭いてあげましょう。皮膚からの感作(経皮感作と呼びます。)による食物アレルギーの予防になります。

皮膚炎ができた時は、ステロイド軟膏をきちんと塗って、はやく正常の皮膚に戻してあげましょう。大人も子供も、アトピー性皮膚炎になってからは、経皮感作予防の意味でも治療の意味でも保湿剤によるスキンケアだけでは足りませんので、ステロイド軟膏を医師や薬剤師さんが説明する通りにしっかり使いましょう。

最近は皮膚の状態がよくなってからもステロイド外用薬をすっかりやめてしまうのではなく、間隔をあけて少量使用することで良い状態を維持しようとするプロアクティブ療法が主流になっています。

エビデンスにもとづいた情報のアップデートが一番大切で有効、と言えるでしょう。


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