アレルギー相談室


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2019年12月30日 (月)

質問19:診断がついていないのに喘息の薬をもらうことがあるのはなぜ?

咳喘息や喘息が強く疑われるけれども明らかな証拠がないという時、気管支拡張剤の吸入薬や内服薬(日本では貼り薬も)を処方されることがあります。このような、治療と診断を同時に行っていく方法を診断的治療と呼びます。現在の症状が咳喘息や喘息によるものであろうと想定し、それに対する治療を開始、もしもそれらの薬で治療効果が見られれば咳喘息や喘息と診断できるという流れです。

喘息は夜の方が悪化しますので受診した時間帯には胸の音が正常ということはままありますし、また咳喘息の場合は気管支喘息と違ってヒューヒューゼイゼイというような胸の音が聞こえず呼吸機能検査では正常ということがほとんどです。レントゲン写真にも写りません。さらに、血液検査で基準値から外れていれば診断できるというものでもないため、他の疾患に比べると診断的治療でしか診断できないことが多いかもしれません。

「気道の気流制限があること」「気流制限に可逆性があること」が特徴であるため、悪い状態の時にその制限を解除する薬(気管支拡張薬)を使い、可逆性があるかどうかを確かめるわけです。受診時に明らかな気流制限があると思われる場合には、その場で気管支拡張剤の効果を確認します。

気管支拡張剤の効果が認められなかった場合は、アトピー咳嗽や感冒後咳嗽、逆流性食道炎による咳などを疑います。

診断には問診もとても重要です。いつからどのような症状があるのか、1日の中で症状に変動があるのか、以前にも同じようなことがあったか、小さい頃に小児喘息と言われていたか等をよく思いだしてみましょう。受診の前に、それまでの経過や使ってみた薬をメモしておくこともとても役に立ちます。

2019年12月28日 (土)

質問18:喘息の原因は血液検査でわかりますか?

喘息や咳喘息と診断されてから、原因を知りたいので血液検査をしてくださいとおっしゃる患者さんがいらっしゃいます。

喘息症状が、ある原因(アレルゲン)をきっかけに発症している場合、それをアトピー型喘息と呼び、その場合はアレルゲンを採血で探すことも可能です。多くの場合は、「犬(猫)を飼っている祖父母の家に遊びに行ったら発作が出た」というように原因と結果が明らかであったり、よくお話をうかがうとハムスターを飼っている等、疑わしいアレルゲンが存在していますが、最も多いのはハウスダスト・ダニによるアレルギーです。このようなアトピー型喘息は小児に多く、小児の場合はアレルゲンを避けることや環境整備が発作を回避するために重要になってきます。

一方、成人で新しく発症した喘息患者さんには、このようなアレルゲンがあるタイプの喘息はむしろ少なく、風邪やインフルエンザなどの感染や過労・ストレスがきっかけとなって発症するタイプが多くなります。このようなタイプの喘息を非アトピー型喘息と呼びます。アレルギー性鼻炎を合併している患者さんも多いため、アレルギー性鼻炎のアレルゲンを見つけることはできますが、このアレルゲンが喘息発作に直結するわけではありません。ただし、アレルギー性鼻炎のコントロールが良くないときには喘息も悪化してくることが多いため、鼻炎のコントロールに役立てるためにアレルゲンを探すということは無意味ではありません。風邪や過労をきっかけに喘息の咳が出るけれども、アレルギー性鼻炎など他のアレルギー疾患は無く、小児喘息もなかったという場合は、残念ながらあまり血液検査が有用とは言えないでしょう。


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