質問19:診断がついていないのに喘息の薬をもらうことがあるのはなぜ?
咳喘息や喘息が強く疑われるけれども明らかな証拠がないという時、気管支拡張剤の吸入薬や内服薬(日本では貼り薬も)を処方されることがあります。このような、治療と診断を同時に行っていく方法を診断的治療と呼びます。現在の症状が咳喘息や喘息によるものであろうと想定し、それに対する治療を開始、もしもそれらの薬で治療効果が見られれば咳喘息や喘息と診断できるという流れです。
喘息は夜の方が悪化しますので受診した時間帯には胸の音が正常ということはままありますし、また咳喘息の場合は気管支喘息と違ってヒューヒューゼイゼイというような胸の音が聞こえず呼吸機能検査では正常ということがほとんどです。レントゲン写真にも写りません。さらに、血液検査で基準値から外れていれば診断できるというものでもないため、他の疾患に比べると診断的治療でしか診断できないことが多いかもしれません。
「気道の気流制限があること」「気流制限に可逆性があること」が特徴であるため、悪い状態の時にその制限を解除する薬(気管支拡張薬)を使い、可逆性があるかどうかを確かめるわけです。受診時に明らかな気流制限があると思われる場合には、その場で気管支拡張剤の効果を確認します。
気管支拡張剤の効果が認められなかった場合は、アトピー咳嗽や感冒後咳嗽、逆流性食道炎による咳などを疑います。
診断には問診もとても重要です。いつからどのような症状があるのか、1日の中で症状に変動があるのか、以前にも同じようなことがあったか、小さい頃に小児喘息と言われていたか等をよく思いだしてみましょう。受診の前に、それまでの経過や使ってみた薬をメモしておくこともとても役に立ちます。