はしか(麻疹)についてのお知らせ
日本では今年麻疹の報告数が増え、今年2018年は5月16日現在で149人の発生が報告され、注意喚起がなされています。イギリスでも2018年1月1日から5月9日までに440人の麻疹が報告されており、公的医療機関であるNHSは2回の予防接種を勧めています。
麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
麻疹の感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、人から人へ感染し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
麻疹ワクチンを接種することによって、95%以上の人が麻疹ウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができるため、2回の接種歴があることが重要となってきます。
日本では麻疹の予防接種は1966年から任意接種として始まり、1978年10月に予防接種法に基づく定期接種に導入されました。そして2006年度から1歳児と小学校入学前1年間の幼児の2回接種制度が始まりました。
実際2015年以降の麻疹の発生報告例、特に集団発生事例の主体は20-30代であり、報告例の大部分で2回の麻疹有ワクチン接種が未実施か、接種歴不明な人でした。
出張や里帰りで日本にお出かけになる方もいらっしゃるかと思います。また世界の多くの地域でも麻疹の報告がされており、主にアジア、アフリカ及びヨーロッパ諸国からの報告が多くなっています。
2回の麻疹有ワクチン接種が未実施か、接種歴不明な方にはワクチン接種をお勧めします。麻疹に対する免疫についてご不明な点があれば、お早めに最寄の医療機関へご相談下さい。なおイギリスではMMR(麻疹、風疹、おたふくかぜ)の3種混合のワクチンとなります(日本では麻疹、風疹混合ワクチンとなっております)。
厚生労働省ホームページ(日本) 麻疹について
国立感染症研究所 麻疹対策・ガイドラインなど
https://www.niid.go.jp/niid/ja/guidelines.html
Measles outbreaks across England
https://www.gov.uk/government/news/measles-outbreaks-across-england