英国・グリーン通信


2019年8月10日 (土)

溶血連鎖球菌(溶連菌)感染症について

溶連菌感染症と聞くと、唾も飲めなくなるほど喉が痛くなる咽頭炎を想像されることが多いと思いますが、溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)は、菌の侵入部位によって様々な症状を引き起こします。最も多い急性咽頭炎の他にも、上気道炎、急性胃腸炎、膿痂疹(とびひ)、蜂巣織炎、猩紅熱(Scarlet fever)、中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などがあります。また、菌の直接の作用ではなく、感染後の免疫学的機序を介して、リウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすこともあります。

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2019年7月25日 (木)

熱中症にご注意下さい!

熱中症(Heat stroke)にご注意下さい。

 

近日、英国を含め欧州では過去に類をみない猛暑となっています。現地公的機関からも熱中症予防のお知らせが出ていますが、こちらでもお知らせ致します。

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2019年7月17日 (水)

脂肪肝と運動

今回は「脂肪肝と運動」についてご紹介致します。まずは脂肪肝の概要はご存知でしょうか。

 

健康診断などでお腹の超音波検査を受けられたことのある皆さんの中には脂肪肝を指摘されたことのある方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。「まあ、比較的多くみられる異常所見なので、経過を見ていていいですよ」と説明を受けることもあるかもしれません。「果たして本当に様子を見ていてよいのだろうか?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

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2019年6月28日 (金)

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV),そしてHPVワクチンについて その2

子宮頸がんの予防対策として、子宮頚部細胞診による検診が行われ、日本においても子宮頸がんの死亡率の減少に成果をあげてきました。しかしながら近年はその効果も限定的となっており、子宮頸がんの罹患率・死亡率は上昇傾向となっております。

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2018年10月29日 (月)

「運動しましょう」というのは簡単ですが、、、

体重が増えた、おなか周りが太くなった、ヘモグロビンA1cが上昇した、血圧が高くなってきた、コレステロールが高い、中性脂肪が高い、脂肪肝がみられる、肩が凝る、腰が痛いなど、様々な要因で「適度な運動をしましょう」と医療機関や会社の健康管理室でアドバイスを受けた経験のある方は、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。私達、医療関係者はかなりの頻度でそのようにお話する機会があります。しかし、「言うのは簡単ですが、なかなかお仕事などで時間をとるのが難しいですよね」と付け加えることが多いのも事実です。もちろん食事のとり方が更に重要であることは言うまでもありませんが、ここでは、いわゆる健康を取り戻すため、もしくは増進するための運動について、ご案内したいと思います。皆様の運動に関する学術的な根拠に基づいた情報源として添付のWebsiteなどをご覧になるのも宜しいかもしれません。

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2018年5月27日 (日)

はしか(麻疹)についてのお知らせ

日本では今年麻疹の報告数が増え、今年2018年は5月16日現在で149人の発生が報告され、注意喚起がなされています。イギリスでも2018年1月1日から5月9日までに440人の麻疹が報告されており、公的医療機関であるNHSは2回の予防接種を勧めています。

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2016年12月 9日 (金)

インフルエンザワクチンについて

皆さんが一般的にイギリスで受けられているインフルエンザワクチンについてのご案内です。

「イギリスでもインフルエンザは流行るのでしょうか?」「イギリスではインフルエンザにかかったら何日くらい休むのでしょうか?」などというご質問を頂くこともありますが、今回は、「日本とイギリスはワクチンが異なるでしょうか?」というご質問の答えとなります。

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2016年12月 2日 (金)

肝機能障害のお話

血液検査や腹部超音波検査で、「肝臓の酵素が高い」、「肝臓に脂肪が蓄積している」、「肝臓に白く見える影がある」などという指摘を受けられたことのある方は少なくないかと思われます。これらの肝臓にまつわる異常所見について、ごく一部ですが、遭遇する頻度の高い話題に関し、一般的なご案内を致します。

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2015年10月22日 (木)

今世界で注目されているビタミンDをご存知ですか。

日本ではまだ話題にのぼることが少ないビタミンD。骨の健康やカルシウムの吸収に重要で、ビタミンDが不足すると骨粗しょう症や骨軟化症、骨折の危険性が高くなる事は以前から知られています。ですが近年研究の世界では、ビタミンDと病気の新しい関連性が次々と報告されています。

ビタミンD欠乏症と関連が指摘されている病気は、

●風邪やインフルエンザのような感染症、

●大腸癌や乳癌などの悪性腫瘍、

●筋力低下、転倒、腰痛、背部通

●高血圧、糖尿病、心筋梗塞などの生活習慣病など多岐にわたります。

また、肥満の人はビタミンD欠乏症になりやすい事がわかっており、血中ビタミンD濃度が高い人ほどダイエットの効果が出たという報告もあります。

毎年冬の時期にだけ気分の落ち込み、疲労、倦怠感、過眠、過食などの症状を伴ったうつ病を発症する、冬季うつ病という病気があります。この原因については諸説ありますが、日光が少なる冬にビタミンD濃度が低下しているために起こっているという説もあり、関連性が指摘されています。

この他にもビタミンDには長生き効果がある事が示唆されています。血液中のビタミンD濃度が低い人は、濃度が高い人と較べて死亡率が高いということが多くの研究で示されています。

どれくらいの人がビタミンD欠乏症であるのかはっきりした事はまだ分かっていませんが、世界的には約50%からそれ以上の人がビタミンD欠乏症であるという報告もあります。食事から摂取される他のビタミン類と違って、ビタミンDは主に日光を浴びる事によって皮膚で作られるので日中、仕事や家事などで屋内で過ごす時間の多い方、日中の外出時に日焼け止めを使われたり肌をお洋服などで覆うことが多い方は、日光を浴びる量が少なくなるためビタミンD欠乏症になるリスクが高まります。また、白人の人たちと較べて、私たち日本人のような有色人種は日光を浴びた時のビタミンD生成量が少ないと言われています。そして、私たちのいるイギリスは曇りの天気が多く、特に冬場は日光を浴びる機会が非常に少なくなりますので注意が必要でしょう。

 

参照

1.         Department of Health. Dangers of vitamin D deficiency highlighted. 2012. https://www.gov.uk/government/news/dangers-of-vitamin-d-deficiency-highlighted

2.         National Institute for Health and Care Excellence. Vitamin D: implementation of existing guidance to prevent deficiency (in progress). 2014

http://www.nice.org.uk/guidance/gid-phg71/resources/implementing-vitamin-d-guidance-draft-guideline2

3.         International Osteoporosis Foundation. UK’s first clinical guideline on identifying and treating vitamin D deficiency. 2013

http://www.iofbonehealth.org/uk%E2%80%99s-first-clinical-guideline-identifying-and-treating-vitamin-d-deficiency

4.         Grober U, Spitz J, Reichrath J, Kisters K, Holick MF. Vitamin D: Update 2013: From rickets prophylaxis to general preventive healthcare. Dermatoendocrinol 2013;5:331-47.

5.         Hossein-nezhad A, Holick MF. Vitamin D for health: a global perspective. Mayo Clin Proc 2013;88:720-55.

2015年10月11日 (日)

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome ; IBS)②

前回ご紹介させて頂いた現代病のひとつともいえる「過敏性腸症候群」。その診断と対応は容易なものではありません。まだまだ解明されていない部分の多い病気であり、「便秘型」「下痢型」など、症状のタイプも多様であるため、多方面からの対応が必要となることが多い病気のひとつですが、消化器の異常であるため、食事のとり方は重要です。効果の程度に個人差はみられますが、IBSと診断されたり、IBSを強く疑われている人では、一考の価値はあります。今回は、その概要をご案内致します。

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