過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome ; IBS)②
前回ご紹介させて頂いた現代病のひとつともいえる「過敏性腸症候群」。その診断と対応は容易なものではありません。まだまだ解明されていない部分の多い病気であり、「便秘型」「下痢型」など、症状のタイプも多様であるため、多方面からの対応が必要となることが多い病気のひとつですが、消化器の異常であるため、食事のとり方は重要です。効果の程度に個人差はみられますが、IBSと診断されたり、IBSを強く疑われている人では、一考の価値はあります。今回は、その概要をご案内致します。
IBSの症状を緩和させる食事とは
一回の量を少なめにして食事の回数を増やしたり、一回の食事量を減らすことが過敏性腸症候群(IBS)の症状緩和につながるといわれています。量の多い食事はIBSの腹痛や下痢の原因になることがあります。
米、パスタ、全粒粉のパンやシリアル、果物、野菜などの低脂肪、高炭水化物の食品は症状緩和に役立つと言われています。
繊維質の摂取は便を軟らかくして便通を助けるため、IBSによって起こる便秘の緩和に役立ちます。繊維は全粒粉のパンやシリアル、豆類、果物、野菜に多く含まれます。アメリカにおける2010年のガイドラインで成人は一日に22~34gの繊維を摂取すべきとされています。
しかし、繊維は便秘を緩和させる一方で、IBSによる腹部不快や腹痛の一因となる可能性もあります。実際、繊維を多くとった後、腹部不快を訴えるIBSの方がいらっしゃいます。
体が慣れるまでは、徐々に少しずつ食物繊維を食事に取り入れて増やしていきましょう。たくさんの繊維を一度に摂取するとお腹にガスが発生する原因となりIBSの症状を引き起こす可能性があります。一日2~3グラムまでの繊維を少しずつ摂取し、お腹のガスや腹部膨満を防ぎましょう。
IBSの症状を緩和させるために避けるべき食品
症状を悪化させる可能性のある食品として以下のものがあげられます。
・ 高脂肪の食品
・ 乳製品
・ アルコール、カフェイン
・ 人工甘味料の含まれた飲料
・ 豆類、キャベツなどお腹のガスを発生させる可能性のある食品
どの食品が症状を引き起こすかを知る手がかりを見つけるために、何を食べて、いつどんな症状が出たか、「症状日記」につけましょう。
お腹の症状を悪化させる可能性のある食品についての記録は、医師に相談する際の重要な材料となります。
おそらく、このような食品は摂取量を減らしたり、避けたりすることになります。
その際、医師から「低フォドマップ食」または「フォドマップ食」を勧められるかもしれません。
「低フォドマップ食」、「フォドマップ食」とは、消化、吸収されにくい糖質を含む高フォドマップ食品を控える食事療法です。
高フォドマップ食品とは
・ リンゴ、アプリコット、ブラックベリー、チェリー、マンゴー、桃、梨、スモモ、スイカ、またはこれらを含んだジュース
・ 果物の缶詰、多量のフルーツジュース、ドライフルーツ
・ アーティチョーク、アスパラガス、豆類、キャベツ、カリフラワー、ニンニク、ガーリックソルト、キノコ類、タマネギ、シュガースナップ、サヤエンドウ
・ 牛乳、ソフトチーズ、ヨーグルト、カスタード、アイスクリーム
・ 小麦、ライ麦製品
・ ハチミツ、異性化糖(high-fructose corn syrup)の含まれた食品
・ ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトールなど「-ル」で終わる甘味料が含まれているガムや飴などの製品
食事療法の効果には個人差がみられますので、体調の変化に関しては、医療機関へご相談頂くか、トレーニングを受けた栄養士の指導を受けられることをお勧めいたします。
参考;
http://www.niddk.nih.gov/health-information/health-topics/digestive-diseases/irritable-bowel-syndrome/Pages/eating-diet-nutrition.aspx