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2019年9月 5日 (木)

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV),そしてHPVワクチンについて その3

HPVワクチンは日本、イギリス両国でワクチンスケジュールに組み込まれており、定期接種の一つとなっております。

日本国内で承認されている2価と4価のHPVワクチンはいずれもHPV16型、18型という2型のハイリスクHPVが感染するのを予防します。日本国内では未承認ですが、9価(2つの型のローリスクHPVと7つの型のハイリスクHPV)ワクチンも安全性と有効性が認められ、イギリスやアメリカなどでは認可されております。これが普及すれば、子宮頸がんの90%が予防可能になると期待されております。

HPVワクチンの長期HPV感染予防効果は現在も研究が続いており、現在のところ投与後約10年以上のHPV感染予防効果は確認されています。20年、30年後のデータはまだありませんが、理論的には長期間の効果が期待されることが推計されております。

接種推奨年齢;HPVワクチンはHPVの感染予防を目的としており、すでに感染した細胞からHPVを排除する効果は認められません。そのため、HPVに感染する可能性が低い10代での接種が推奨されており、英国での推奨年齢は9-26歳となっています。日本では10-14歳を最優先とし、15-26歳をその次に推奨しています。

接種方法と回数;英国では9-15歳以下では2回接種(初回と6-24ヶ月以内での2回)、15-26歳では3回接種(初回、2ヵ月後、6ヵ月後での3回)となっています。日本では全年齢で3回接種となっております。腕または大腿部(ふともも)の筋肉内に接種します。

接種後に注意することは?;一方、HPV ワクチンは筋肉注射であるため、注射部位の一時的な痛みは9 割以上、一過性の発赤や腫れなどの局所症状は約8 割の方に生じます。また、若年女性で注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こした事例が頻度は少ないですが報告されているため、接種直後は30 分程度安静にして異常がないことを確認することも重要です。

 

  1. 日本産科婦人科学会 子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために http://www.jsog.or.jp/uploads/files/jsogpolicy/HPV_Q%26A.pdf
  2. Stanley M, et al: Chapter 12: Prophylactic HPV vaccines: underlying mechanisms. Vaccine 2006; 24 Suppl 3: S3/106-113.
  3. Huh WK, et al: Final efficacy, immunogenicity, and safety analyses of a nine-valent human papillomavirus vaccine in women aged 16-26 years: a randomized, double-blind trial. Lancet. 2017; 390:2143-2159.

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