今世界で注目されているビタミンDをご存知ですか。
日本ではまだ話題にのぼることが少ないビタミンD。骨の健康やカルシウムの吸収に重要で、ビタミンDが不足すると骨粗しょう症や骨軟化症、骨折の危険性が高くなる事は以前から知られています。ですが近年研究の世界では、ビタミンDと病気の新しい関連性が次々と報告されています。
ビタミンD欠乏症と関連が指摘されている病気は、
●風邪やインフルエンザのような感染症、
●大腸癌や乳癌などの悪性腫瘍、
●筋力低下、転倒、腰痛、背部通
●高血圧、糖尿病、心筋梗塞などの生活習慣病など多岐にわたります。
また、肥満の人はビタミンD欠乏症になりやすい事がわかっており、血中ビタミンD濃度が高い人ほどダイエットの効果が出たという報告もあります。
毎年冬の時期にだけ気分の落ち込み、疲労、倦怠感、過眠、過食などの症状を伴ったうつ病を発症する、冬季うつ病という病気があります。この原因については諸説ありますが、日光が少なる冬にビタミンD濃度が低下しているために起こっているという説もあり、関連性が指摘されています。
この他にもビタミンDには長生き効果がある事が示唆されています。血液中のビタミンD濃度が低い人は、濃度が高い人と較べて死亡率が高いということが多くの研究で示されています。
どれくらいの人がビタミンD欠乏症であるのかはっきりした事はまだ分かっていませんが、世界的には約50%からそれ以上の人がビタミンD欠乏症であるという報告もあります。食事から摂取される他のビタミン類と違って、ビタミンDは主に日光を浴びる事によって皮膚で作られるので日中、仕事や家事などで屋内で過ごす時間の多い方、日中の外出時に日焼け止めを使われたり肌をお洋服などで覆うことが多い方は、日光を浴びる量が少なくなるためビタミンD欠乏症になるリスクが高まります。また、白人の人たちと較べて、私たち日本人のような有色人種は日光を浴びた時のビタミンD生成量が少ないと言われています。そして、私たちのいるイギリスは曇りの天気が多く、特に冬場は日光を浴びる機会が非常に少なくなりますので注意が必要でしょう。
参照
1. Department of Health. Dangers of vitamin D deficiency highlighted. 2012. https://www.gov.uk/government/news/dangers-of-vitamin-d-deficiency-highlighted
2. National Institute for Health and Care Excellence. Vitamin D: implementation of existing guidance to prevent deficiency (in progress). 2014
http://www.nice.org.uk/guidance/gid-phg71/resources/implementing-vitamin-d-guidance-draft-guideline2
3. International Osteoporosis Foundation. UK’s first clinical guideline on identifying and treating vitamin D deficiency. 2013
4. Grober U, Spitz J, Reichrath J, Kisters K, Holick MF. Vitamin D: Update 2013: From rickets prophylaxis to general preventive healthcare. Dermatoendocrinol 2013;5:331-47.
5. Hossein-nezhad A, Holick MF. Vitamin D for health: a global perspective. Mayo Clin Proc 2013;88:720-55.