英国・グリーン通信


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2012年9月23日 (日)

「イギリスの水」その3

「水が違うと下痢をする?」、こんなお尋ねをよく頂きます。

海外へ出かけるとお腹がゆるくなるとはよく聞く話です。日頃食べなれない脂っこい食事や、加熱が不十分な食事が原因のこともあれば、水の硬度が影響していることもあります。

水の硬度とは、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量で決まります。これらが多い水は硬水、少ない水は軟水といわれています(基準値は前のコラムを参照ください)。


日本の水はほとんどが軟水で欧米は硬水が多いといわれています。日本は国土が狭いため雨水や雪が地層に浸透する時間が短く、欧米では地層に接する時間が長いことや地層の組成が異なることが、水に溶けだすこれらのミネラル分の比率の違いを生むといわれています。


硬水に含まれるマグネシウムは体に摂取され、腸管内で水分子と強く結合します。このため腸管内に水を引き寄せて体内への吸収を妨げます。さらに、マグネシウムはコレシストキニンという腸管ホルモンの分泌を促す結果、腸管からの水分吸収を低下させるといわれています。(注1)この結果、腸管内に水分が溜まり、便が柔らかくなったり、下痢を起こすといわれています。

時間をかけて少しずつ慣らしていく方法もありますが、思い当たる方はスーパーなどで軟水を購入するのもひとつの対処法かもしれません。

売られている水も多くは硬水ですので、ボトルの裏の表示から、是非一度、水の硬度を計算して軟水をお探しください。(計算式は「イギリスの水(その1)」を参照ください)

(注1)Magnes Res. 1996 Jun; 9(2):133-8.
The osmotic and intrinsic mechanisms of the pharmacological laxative action of oral high doses of magnesium sulphate.  Importance of the release of digestive polypeptides and nitric oxide.


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