英国・グリーン通信


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2012年9月30日 (日)

「体重管理」 in GB

イギリスもしくはヨーロッパ滞在中に、太った、肥満したという話を良くうかがいます。

医学的な「肥満」とは体の中の脂肪の割合が多すぎることを意味します。たとえば筋肉が増え、体重が増えた場合は肥満とは言いません。肥満の判定は、身長と体重から計算されるBMI(Body  Mass  Index)という数値で行われています。BMI=体重(kg)/身長(m)x身長(m)という計算式で計算され、BMI=22が統計学的に最も病気になりにくいとされています(注1)。一方、25以上を肥満と判定します。

また、体の脂肪のうち、内臓にたまる内臓脂肪がもっとも問題だと言われています。それは内臓脂肪細胞から分泌されるアディポカインと呼ばれる物質が高血圧や糖尿病、動脈硬化等の生活習慣病を引き起こす鍵になっていると考えられているからです。この内臓脂肪はおへその高さで図る腹囲と比例をするため、腹囲を測定することで、内蔵型肥満かどうかの判定が行われています。男性で85cm、女性で90cmを超えると内蔵脂肪型肥満と判定されています。
もちろん肥満だけでは病気ではないですが、BMI25以上になると、生活習慣病にかかりやすくなります。

では、この肥満を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。体重が増えるのは、消費するエネルギー以上にエネルギーを摂取したため、と考えられます。このことから、消費カロリー以上の栄養を摂取しないことが単純な方法になります。例えば、身長170cmでデスクワークが中心の生活でいらっしゃる方の場合、1600-1900kcal程度が一日の食事摂取の目安となります(注2)。


イギリスでの食生活は、日本と比べ揚げ物が多くなり、摂取カロリーが高くなる傾向にあります。また注意すべき点としまして、アルコールにもカロリーがあります。例えば、ビール1パイントあたり200-250kcal前後のカロリーが含まれています(注3)。イギリスに来られて、飲酒の機会が増えた方はアルコールのカロリーを計算し、摂取カロリーに加えることも大切です。

当然、食事の内容や運動あるいは基礎代謝等、エネルギー消費も重要な要因になりますが、今回は体重増加の最も根本であると考えられる、エネルギーの摂取および消費に関し、ご紹介させていただきました。
皆様方のイギリス、ヨーロッパでの食生活がより豊かで楽しいものになりますように!

(注1)Matsuzawa Y, Tokunaga K,  Kotani K, Keno Y, Kobayashi T, Tarui S. Simple estimation of ideal body weight  from body mass index with the lowest morbidity. Diabetes Res Clin Pract. 1990;10  Suppl 1:S159-64.

(注2)(1日に必要なエネルギー)=(標準体重)x(生活強度に応じたエネルギー)。身長1m70cmの方の標準体重は64kgであり、デスクワークの場合、25-30Kcalが体重あたりの必要エネルギーになります。計算式;64kgx25kcal  or 30kcal=1600-1920kcal/day

(注3)日本糖尿病学会 「食品交換表」1単位200mlより換算


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