英国・グリーン通信


« インフルエンザと風邪の違い | メイン | 乳がん検診 -マンモグラフィーと超音波- »

2013年1月21日 (月)

ノロウイルス in GB & JPN

この冬、日本ではノロウイルスが猛威を振るっていることはご存知の通りです。英国健康保護局の報告によれば、イギリスでの流行はひと段落していますが、ノロウイルス感染症の基本情報に関し、お知らせ致します。

冬の胃腸炎(gastroenteritis;俗語ではstomach bug)の原因として知られるノロウイルス。

潜伏期間は約1~2日、主な症状は嘔吐、下痢、腹痛で熱はそれほど高くなく、通常1~2日間で回復します。周囲での胃腸炎の流行状況、症状経過などから診断(臨床診断とよびます)されることが一般的です。日本では2012年にノロウイルスの迅速診断キットが保険適用となりましたが、乳幼児、高齢者及び免疫不全状態にある人など検査対象は限られています。イギリスでは現在のところ使用されていません。

日本でもイギリスでもノロウイルスによる食中毒や集団発生が報道されていますが、これはきわめて感染力が強いことがひとつの理由です。感染した人の吐物や便に排泄され、接触や飛沫によって感染しますので、特に食事前や調理前後、トイレの後には石けんでしっかり手を洗い、流水で十分流しましょう。このウイルスはアルコール消毒では不十分であることに注意が必要です。吐物の処理には塩素系漂白剤が有効です。また、カキなどがおいしい時期ですが冬の二枚貝にはウイルスが蓄積していることがありますので、よく洗い、加熱(85度1分以上といわれています)するとよいでしょう。

注意していてもかかってしまった場合には、以下の対処をお勧めします。

—脱水予防のため、水分を多めに摂取する。

—発熱や頭痛などには、アセトアミノフェン製剤(英国ではParacetamol)を服用する。

—おなかがすいたら消化のよいものを食べる。

薬物治療は症状にあわせた対症療法に限られ、根本的な治療薬はありません。自分自身の免疫力が最も有効な武器となります。制吐剤、整腸剤、鎮痙剤(いわゆるお腹の痛み止め)などが処方される場合もありますが、補助的な対処方法となります。

以上の対処に加え、英国では次の事も付け加えられています。一般的には危険な病気ではなく、大半の人は医師の診察を受ける事なく2-3日で回復するため、発症した場合は、自宅で療養し、持病をお持ちの場合や、数日以上症状が続く場合は、家庭医(General practitioner;GP)へ相談する。イギリスらしいメッセージです。

疲労、睡眠不足などが続くと感染症にかかりやすくなります。

冬はノロウイルスを含む胃腸炎や風邪が蔓延しやすい時期ですので、普段から体調管理に気をつけて元気にお過ごし下さい。

参考)

厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A

http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

NHS Choice (National Health Service)

http://www.nhs.uk/Conditions/Norovirus/Pages/Introduction.aspx

HPA (Health Protection Agency)

http://www.hpa.org.uk/Topics/InfectiousDiseases/InfectionsAZ/Norovirus/

大阪府感染情報センター(消毒に関して)

http://www.iph.pref.osaka.jp/infection/monosiri/4/4.html

注意;上記内容は個々の体調によって異なりますので、予めご了承下さい。ご不明な点は、最寄の医療機関へ御相談ください。


このページのTOPへ

JGH
(C) 2012 Japan Green Medical Centre