英国・グリーン通信


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2013年6月17日 (月)

イギリスの薬と日本の薬

海外のお薬と聞いて、「強そう」とか「飲むのは何だか心配」と考える人は決して少なく無いと思われます。しかし世界各国、人種差はありますが、かかる病気は基本的に同じですので、使われる薬の主成分は同じです。


例えば、マイコプラズマ感染症などの治療に用いられる抗生物質アジスロマイシンは、日本ではジスロマック、英国ではZithromax(ジスロマックス)の名で発売されており、一錠当たりの量は同じ250mgです。日本では、小児用細粒、カプセル小児用100mg錠、成人用ドライシロップ、600mg錠などの規格がありますが、英国では、これらの250mg以外の錠剤や粉薬は存在せず、一般的な錠剤やカプセルの他は、小児や高齢者向けの懸濁液(Oral Suspension、いわゆるシロップ)が用いられています。

この例にみられるように、両国の間で異なるのは、商品名のほかに、主に剤型(薬の形態)です。日本では、錠剤を小さくする、体重にあわせた細かい計量が可能な粉薬など、日本人向けの改良がなされています。一方、英国では、規格の種類は多くありませんが、包装自体にお年寄りや小さなお子さんが間違って飲み込まないような工夫がなされたり、特殊な機器のない途上国出身の人たちにも一定以上の理解度で服用できるような方法を用いたりと、安全面での配慮が徹底されているようです。剤型の違いにはそれぞれのお国柄も背景となっており、「海外の薬は大きい」すなわち「強い薬」ということにはならないようです。

渡英間もない日本人の皆さんが最も困惑されるのが、小さいお子さんのお薬です。日本では同じ成分のお薬に対して、散剤(こな薬)、ドライシロップ剤、液剤(シロップ)と異なる剤型があります。子ども達がきちんと服薬できるように、味付けを含め、きめ細かい工夫がされていますが、英国では、液剤(Oral Suspension)が大半を占めます。こな薬は一般的ではありませんので、当初は違和感を覚えられるかもしれませんが、慣れれば特に問題ではないということに気付かれるはずです。

お子さんのお薬以外で、皆さんが意外な反応を示されるのは、「貼り薬」を街中の薬局でほとんど見かけないことです。湿布薬はPlasterとかPatchなどと呼ばれますが、歴史的にあらゆる種類の貼り薬の概念に乏しく、この言葉には絆創膏という意味もあるため、伝わりづらいという可能性もあります。しかし、最近では、日本発の湿布薬が薬局の店頭に堂々と並んでいますので、「貼り薬」の国境がなくなる日も遠くないでしょう。

このように国や文化が異なることによりお薬の形や細かい使い方も若干異なりますが、その目的は同じです。しかし、受け手である体には人種差や個体差があることから、お薬に対する反応に差があることは否定できません。お薬の使用に関してご不明な点は、ネット情報を確認なさるのも良案ですが、お近くの薬局カウンターや医療機関へご確認なさることをお勧めします。


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