英国・グリーン通信


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2014年12月24日 (水)

かぜ in UK

(2012年掲載文を再掲載しています)

日本からイギリスに来られた方の多くが、最初の1~2年に風邪をひきやすくなったと感じています。これはどうしてでしょうか?

風邪を引き起こすウイルスには、ライノウイルス、コロナウイルスなどをはじめとして、200種類以上のウイルスが知られています。そして、私たちが風邪をひくたびに、身体の中に風邪ウイルスに対する抗体が作られます。つまり、そのウイルスに対して抵抗力を持つようになります。そのため、一般的には成人するにつれ、より沢山の抗体を持つようになり、風邪をひきにくくなります。

あらゆる病原菌の種類や分布は地域ごとに異なりますから、日本とイギリスにおいても、接しやすい風邪ウイルスの種類が違うことが予想されます。これまで接したことのないウイルスに接すれば、成人であっても風邪をひきやすくなります。ただし、ウイルスの種類の違いがどの程度風邪のひきやすさに関係しているかは不明です。両国の間を多くのヒトやモノが行き来している現在では、風邪ウイルスの分布の差はどんどん小さくなっているでしょう。

ウイルスの種類の違いの他にも、イギリスで風邪を引きやすくなるような原因がいくつか考えられます。まず、気候です。寒い方が風邪をひきやすいことは、統計的にも実験的にも証明されていますし、空気の乾燥により鼻の粘膜が乾くと、外から来たウイルスに対して十分に防御できなくなります。また、慣れない海外暮らしなどに伴うストレスは、身体の免疫力を低下させますから、やはり風邪をひきやすくなってしまいます。密閉された空間で多くの人と長時間過ごす飛行機移動なども、風邪ウイルスの伝播にとっては好都合です。
風邪ウイルスはヒトを介して広まりますので、その予防に最も効果的なのは、他人と接しないで隠遁生活を送ることですが、現実にはそういうわけにもいきません。現実的にできることは手をよく洗うことでしょう。風邪のウイルスに感染しても、多くの人は発症しませんから、周囲に風邪の症状の人がいなくても、やはりきちんと手を洗うことが望ましいです。 また、身体の抵抗力を低下させるストレスは、かぜの最大の敵です。規則正しい生活・バランスのとれた食生活を心がけ、楽しい海外生活を送ってください。

(参考リンク)
イギリスカーディフ大学のCommon Cold Centre では上記内容を支持する情報提供がなされておりますので、是非、ご参照下さい。(Professor R Ecclesの許諾のもとに下記ホームページにリンク致しておりますので、内容の転載はご遠慮下さい。)

http://cardiff.ac.uk/biosi/subsites/cold/index.html


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