アレルギー相談室


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2019年6月26日 (水)

質問11:雨が降ると花粉は減るはずなのに花粉症や喘息が悪化するのはなぜ?

「暖かい晴れた日に花粉量が増える」気温が上がると既に作られている花粉が放出され飛散量が増えますので、花粉症の症状は悪化することがほとんどです。しかし残念ながら、逆も真とは言えないようです。しとしとと静かに降る雨であれば、花粉は地面に落ちて、全体の飛散量も低下すると考えられますが、実際には、「雨が降っているにもかかわらず花粉による鼻炎や、花粉症をきっかけに起こる喘息が悪化する」ことはしばしば観察されています。

これについては、数年前にオーストラリアでの嵐の後、数千人が喘息発作で救急外来を受診し、死亡者も出たことから、雷雨喘息(thunderstorm asthma)という言葉が知られるようになりました。嵐の時に舞い上がるカビの胞子の影響もあるようですが、主な原因は大量に飛んでいた花粉が嵐による強風や湿度、雷などの影響で水分を吸って破裂したことだろうと考えられています。花粉が破裂すると、壊れたことでアレルゲンとしても強まり、ばらばらな破片になることで数も増え、それぞれの破片は花粉本体が入れない細い気管の奥まで入り込んでアレルギー反応を起こします。本来の花粉は排気ガスの中のPM2.5(粒子径が2.5μm以下の微小粒子状物質)等よりもはるかに大きく、せいぜい鼻の粘膜や喉のあたりにしか入りません。しかしいったん壊れた花粉の破片は、PM2.5同様あまりにも小さいため浮かんだままゆるやかに空気の流れに運ばれ、肺の奥にまで届いてしまうのです。

花粉の破裂は、以前から日本では黄砂によって起こることがわかっていましたが、イギリスでは大気汚染によるPM2.5や嵐が影響することが多いようです。細かくなった花粉は大気汚染物質を伴って肺に入り込むこともあり、喘息に悪影響を及ぼします。雷雨喘息は、イギリスではちょうど今からの時期に起こりやすくなるため要注意です。

 


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