アレルギー相談室


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2019年8月15日 (木)

質問13:イギリスに来た年にはスギ花粉症が無く楽だったのに、2年目からは悪化しました。なぜでしょう?

花粉の飛散量によっても症状は変化しますが、花粉による感作がいつ起こったかによる違いである可能性もあります。

人間の体の中に異物が入ってきた時に、体はそれを排除しようとします。これは当たり前のことなのですが、花粉症ではその反応が過剰になってしまっています。排除の仕組みの第一段階として、アレルゲンになる花粉に対して、体の中でそれぞれに対応する特別なIgE抗体が作られます。

第二段階として、作られたIgE抗体は皮膚や粘膜の下のマスト細胞にくっつきます。マスト細胞は、花粉症の鼻水や鼻づまり、咳などを起こすヒスタミンやロイコトリエンなどを出す細胞です。こうして前もって準備されたマスト細胞の上のIgE抗体は、次にその花粉が体に入ってくるのを今か今かと待っているわけです。

この第二段階までの状態が感作です。症状を起こす準備がされていても、ヒスタミンやロイコトリエンが出ていなければ、まだ花粉症の症状は出てきませんので、感作された段階では自分ではわかりませんし治療も必要ではありません。

しかし、アレルゲンさえ再侵入すればそれに反応してヒスタミンなどが放出される状態ですから、その花粉やよく似た性質をもつアレルゲン('交差性の高いアレルゲン'と言います。)にまた出会えば、すぐに症状が出ます。(これを'Ⅰ型アレルギー反応'と呼びます。)

日本でハンノキ(ブナ目花粉で交差性が高い)やカモガヤ(イネ科花粉の代表)に既に感作されていた方は、イギリスでも同じアレルゲンに出会うことになりますから、たとえスギ花粉が飛んでいなくてもすぐに症状が出るでしょう。一方、これらのアレルゲンによる感作がイギリスに来てから起こった場合は、そのシーズン中には症状が出ないか軽いかで、その翌年に初めて本格的な症状が自覚されるということが多いようです。特にイネ科花粉による感作が起こっている時は、イギリスの長いGrass花粉シーズンのせいで症状がかなりつらく感じられるようです。


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